書評 - 電子書籍の衝撃 本はいかに崩壊し、いかに復活するか?
iPhoneアプリで購入。
AppleのiPod/iTunesで起きた音楽業界の革命を例に、これから出版業界で起きる変化と未来についての予測が書かれています。
5月28日のiPad発売前に是非読んでおきたい一冊です。
dankogaiさんの書評の方も目を通された方が良いかと思います。
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2010/04/15
- メディア: 新書
- 購入: 38人 クリック: 1,111回
- この商品を含むブログ (210件) を見る
目次
はじめに 第1章 iPadとキンドルは、何を変えるのか? * 姿勢と距離から見る、コンテンツとデバイスの相性 * キンドルの衝撃 * これ以上ないほど簡単な購入インターフェイス * 物理的制約を離れ、膨大な数の書籍の購入が可能に * ハードカバーの約3分の1という戦略的低価格 * 複数のデバイスで読書が続けられる仕組み * 「青空キンドル」? 日本語の本はまだだが…… * ヌック、ソニーリーダー…百花繚乱のアメリカ・ブックリーダー * アマゾン・キンドル最大の対抗馬、アップルiPadの登場 * iPadが有利なこれだけの理由 * iPadが不利な三つの点 * 決め手は、プラットフォーム * 電子ブックによって本は「アンビエント」化する * ここまで進んでいる音楽のアンビエント化 * そして、情報のマイクロコンテンツ化へ * 本のアンビエント化の先にあるものは? 第2章 電子ブック・プラットフォーム戦争 * ベストセラー作家が電子ブックの版権をアマゾンに * 電子ブック、ディストリビューターの広がり * 出版社の勝算なき抵抗 * そして、アップルiPad の参入 * マイクロソフトから始まったプラットフォームビジネス * 音楽のネット配信、テクノロジー業者とレーベルとの戦い * アップルiTunesミュージックストアの登場と勝利 * 音楽業界におけるアップルのプラットフォーム戦略を完全にコピーして挑んだキンドル * アマゾンのホールセール契約を覆させたアップルのエージェント契約戦略 * アップルは出版社にとって、ホワイトナイトか?トロイの木馬か? * メディア同士のアテンションエコノミーの戦いの中で * グーグルブック検索の参入 * グーグル和解問題は、日本の出版業界でも大騒動に * グーグルは何を狙っているのか? * 出版社連合の電子ブック・プラットフォーム構築の失敗 * わずか2年で失敗した、日本の電子書籍コンソーシアム * 著作権二次使用権の問題 * 取次中心の業界のしがらみから脱却できず * そして、書き手の参入へ 第3章 セルフパブリッシングの時代へ * アマゾンで、誰でも書き手の時代到来!? * ISBNコードを取得する! * アマゾンDTPに、アカウントを登録! * 原稿をアップロードする! * 電子書籍は「出版文化」を崩壊させるのか? * アマゾンでのセルフパブリッシング、オンデマンド印刷も * プロモーションはどうするか? マーケティングの新しい潮流 * 楽曲のセルフ・ディストリビューションに挑むまつきあゆむさん * マスモデルは緩やかに崩壊へと * 記号消費──モノですべてを語った時代 * 記号消費の時代、音楽シーンで起こっていたこと * 記号消費の終焉へ * ネット配信が音楽の好みの細分化を加速させる * 従来のアーティストの収益モデルの崩壊 * ソーシャルメディア時代を生きるスキル * 有名人気アーティストも * セルフディストリビューションは、音楽をいかに変えたか? セルフパブリッシングは、出版をいかに変えるか? * マイスペースで、3週間で200万アクセス!無名ロックバンド、「ハリウッド・アンデッド」の場合 * 巨大レーベル主導から零細ミュージックカンパニーへ * 音楽業界の主流は、360度契約へ * 電子ブック時代の出版社は? 第4章 日本の出版文化はなぜダメになったのか * 若い人は活字を読まなくなったのか? * ケータイ小説本がなぜ売れたか? * ケータイ小説は、コンテンツではなくて、コンテキスト * それは、ヤンキー文化と活字文化の衝突だった! * 流通構造の問題を探る。再販制のはじまり * 委託制と書籍と雑誌の流通の融合のはじまり * いまも引き継がれる流通プラットフォームの問題点 * 1990年代まで出版界が好調でいられた本当の理由 * 壮大なる自転車操業と本の「ニセ金化」 * 「出版文化」という幻想 * 守られるべきものとは何か? 終章 本の未来 * 電子ブックの新しい生態系 * 書店の中にコンテキストをつくった往来堂書店、安藤哲也さん * なぜ、未来の書店像として広まらないのか? * 電子ブックは、結局ベストセラー作家だけが売れる? * 食べログとミシュラン、あなたにとって有益な情報は? * マスモデルに基づいた情報流路から、ソーシャルメディアが生み出すマイクロインフルエンサーへ * すでに始まっているマイクロインフルエンサーによる本のリパッケージ * 多くのマイクロインフルエンサーと無数のフォロワーが織りなす未来の本の世界 * 本と本の読まれ方はいかに変わっていくか? * コンテンツからコンテキストへ。ケータイ小説が読まれる理由 * ソーシャルメディアの中でのコンテクスト構築がこれからの出版ビジネスの課題 * そして、読書の未来に あとがき
Kindle、iPadをはじめとする電子書籍リーダーの登場により紙の本が、売れなくなる???
もちろん、そんな急激な変化はおきないのかもしれないが、出版物の販売金額は1996〜97年をピークに年々下がり続けています。近年では出版不況と呼ばれるようになって久しく時間が経っています。
実際に出版不況が起きたのは何故だったのか、日本の本の流通構造、若い人が活字を読まなくなったと言われているが実は誤解ではないかといったデータや、例えばバブル期の消費はモノを所有すること自体に意味がある記号消費だったといったことも述べられているので、出版業界の仕組みからこれから起こる変化を知りたい方には是非おすすめしたいと思います。
私自身、iPhoneがあることで、本が読みやすくなったと思います。
特に都会の満員電車の中でカバンを開けて本を読むのは意外と体力を使いますが、片手で弄れる携帯をであればそれ程苦にはなりません。
これからiPadが発売されiBooksで沢山の本が買えるようになります。iPhoneもiPhone OS 4.0にバージョンアップすると、その恩恵を受けられるようになります。
あと本の為に家賃を払わなくてよくなる事も大きなメリットですね。
また、電子出版ができるようになることで、大手の出版社を通さなくてもセルフパブリッシングにより出版できるようになり、無名の個人作家でも本を出すことができるようになります。
販売方法も大手出版によるプロモーションからソーシャルメディアによるクチコミでの広がりへと変化していくことで、会社員が一転、売れっ子作家へ…といったことも珍しくなくなるのかもしれません。
電子書籍の登場をさらなる不況の始まりと見るか、夢のような未来の始まりと捉えるかは人次第ですが、私はこれから起こる変化を楽しみにしています。
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2010/04/15
- メディア: 新書
- 購入: 38人 クリック: 1,111回
- この商品を含むブログ (210件) を見る